つめたいセロリ やわらかい猫

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アメリカでピアノをひいて生きています

アメリカでの音楽のお仕事 − チャーチギグ(教会ピアニスト)について詳しく書いてみた

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こんにちは!髙本(こうもと)りなです。(@RinaKmt_pf)

今日は、アメリカの音楽の仕事といえばまずこれ!と言ってもいいくらい機会豊富なお仕事、「チャーチギグ」について詳しく紹介してみたいと思います。

アメリカでの音楽のお仕事に興味がある方の参考になったら幸いです:)

(注:ボストン周辺のいくつかの教会でお仕事した体験を元に書いていますが、
礼拝のスタイルは教会によって本当に様々なので、ほんの一例としてお読みください🙏)

チャーチギグとは

キリスト教のサービス(礼拝)で讃美歌などの伴奏をするお仕事です。(ちなみに私は無宗教)
ピアノ(またはオルガン)だけのこともあれば、フルバンドが演奏するチャーチもあります。

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↑ボストンの中心部。赤いのが全部チャーチです

アメリカには色々な宗教を信仰している人たちが住んでいますが、
その中でもやはりキリスト教徒の割合が多く、教会もたくさんあります。

教会といえば毎週日曜の礼拝です。みんなで讃美歌などを歌うので、曲を演奏するミュージシャンが必要です。ボストンには音大生も多いため、先輩・友達からの紹介や学校の求人情報から応募して、学業と並行して日曜日はチャーチで演奏している、という人がよくいます。

私は毎週ではなく、時々頼まれて予定が合えば引き受けるというスタイルでお仕事してます。

注:留学生が学外で働くことは法律で認められていません。合法に働くには、別途OPTというプログラムを使って労働許可を申請する必要があります(また詳しく書きます!)

礼拝の具体的な流れはこんな感じ!

こちらはボストンのとある教会の礼拝で使われた実際のプログラムです

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(日付変えるの忘れて手書きで直してるところにアメリカらしさを感じる)

すっごく簡単に流れを言うと、
お祈りして、歌って、お祈りして、歌って歌って、詩篇を朗読して、歌いながら寄付を募って、聖書のお話を聞いて、歌って、お祈りする。みたいな感じです。けっこう歌います。

このチャーチでは、プログラムの中で太字で書いてある箇所の、Psalm(詩篇)以外のところが曲名です。
(最後から二行目のは「上で歌った曲の中からどれか一つ歌う」って書いてます)

歌が始まる前にステージの上にシンガーの人たち(worship leader ワーシップリーダーなどと呼ばれる)が出てきて、それでは◯◯を歌いましょう、といった言葉を合図にピアニスト/バンドが演奏をはじめます。

シンガーがステージに上がってこないチャーチもあって、牧師さんがお話してると思って油断してたら突然曲名を言われたりするので、聞き逃さないように注意が必要です。。

リハーサルはあるの?楽譜は事前にもらえる?

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私がお仕事したチャーチは全てリハ無しだったので、基本的にリハーサルはやらないところが多いと思います。
(シンガーの方たちだけで平日に集まって練習している場合もあるみたいです)

楽譜も事前にもらったことはほとんどないです。
トラディショナルな讃美歌を中心に歌うチャーチでは、当日会場に行ってから渡された楽譜を初見で弾くパターンが多く、
ゴスペル系のチャーチでは、事前にYoutubeのリンクなどが送られてきて、自分で簡単にコード譜を作っていくことがほとんどです。

気になるお給料

これも本当にチャーチによって異なりますが、
私の経験では1件あたり$50〜150が相場という感じでした。
(1回のサービスが大体2時間〜2時間半くらい)

現在の為替レートで日本円で変換すると約5500円〜16500円です。(2018/6/7時点)

毎週の礼拝とは別に、特殊なイベント(イースターや何かのお祝い、お葬式など)の演奏に呼ばれたときはもう少し金額が上がります。

チャーチギグで大変だったこと・良かったこと

大変だったこと

シンガーがぜんぜん違うキーで歌いはじめる

良くあるハプニングが、
ピアニストがイントロを弾きはじめるのを待たずに、リードシンガーが違うキーで歌いはじめる
というものです。

本当によくあります😂

そういう時どうするかというと、
その人たちの歌ってるキーに合わせてその場で楽譜を移調して弾くことになります。

なので、その曲のメロディをちゃんと把握してないと大変です。。

結果的には自分のスキルアップに繋がったので良い経験でした!

フランス語で礼拝するチャーチ

何度か弾きにいったハイチ人チャーチでの経験です。
ハイチでは公用語がフランス語なので、そのチャーチの礼拝はフランス語で行われていました。

もちろん一言も理解できないのですが、
このチャーチはシンガーの人たちがステージに上がってこないタイプのチャーチで、
いつ歌が始まるかわからないので、牧師さんが曲名を言ったとき即座に反応できるように注意している必要がありました。

全くわからない言語をひたすら耳を澄ませて聞くというのが想像以上に大変でした。。。
(フランス語勉強したいなって思いました)

マイクスタンドが燃えた

これは大変だったことというか、事故なんですが、、
みんなが聖書の朗読をしているのをピアノの前で聞いていたら、祭壇上の蝋燭の火がすぐ隣に置いてあったマイクスタンドに燃え移って、目の前でマイクスタンドから炎が上がりました😨楽譜のファイルで何度か叩いたら消えたけど、びっくりしました。

良かったこと

柔軟な対応力が身についた

原曲通りに歌われることはあまりなく、盛り上がってくるとサビを何度も繰り返したり、またAメロに戻ってみたり、次どこに進むかわからない!ということもよくあります。
また、歌う場面じゃなくても、牧師さんがお話の途中で突然歌いだすことがあるので、知らない曲でもその場でメロディを聴いて伴奏をつけたりします。
そんな時の対応力が身についたのと、演奏中に何か起こってもあまり動揺しなくなったのが良かったです。笑

自分の知らなかった文化に触れることができた

教会というものに全く縁がなく生きてきたので、ステンドグラス・・パイプオルガン・・・みたいなふんわりしたイメージしかなかったのですが、
実際にチャーチギグをやってみて、牧師さんのお話がどんどんヒートアップしてほとんど叫んでるみたいになっていたり、聞いている参列者の人たちも感極まって泣き出していたり、ラテンアレンジされた讃美歌を歌いながらみんなで踊ってたり、想像してなかったことが沢山あってとても新鮮でした!
初めてパイプオルガンを弾けたのもすごくいい経験でした。

ゴスペル曲のレパートリーが増えた

ゴスペル系のチャーチギグを6回くらいやった結果、
弾ける曲のレパートリーが0曲から35曲に増えました:)

チャーチギグは楽しいよ

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以上、私がボストンで経験したチャーチギグについて詳しく書いてみました。

次回はまた別のお仕事を紹介したいと思います:)